自分の残した相続財産によって家族が争う。
そんな事態に陥らないよう、今から備えをしておきたい。
よく受ける相談です。
相続争いの原因はなにか?
そもそも相続争いになってしまう原因は何でしょうか。
このテーマに関しては、家族の仲が悪かった、という以外に7つの原因を挙げた記事がありますのでご参照ください。 → 相続争い7つの原因
ここでは相続財産には分けやすいものと、分けにくいものがある、という点に着目してお話しします。
その1.分けやすい財産
ひと口に相続財産と言っても、さまざまな形態のものが含まれます。
現金、預金などは1円単位で分割することができますから、公平に分けることが容易な相続財産と言えるでしょう。
有価証券はいかがでしょうか。
日々価値が変動する有価証券については現金等に比べ相続人全員が納得する分け方に配慮が必要な相続財産です。
もっとも、特に上場株式や投資信託商品、金などは換金性が高いため、換価分割とすることで公平に分けることも容易です。
ここまでは 分けやすい 相続財産のお話でした。
では、次に 分けにくい 相続財産について考えてみたいと思います。
その2.分けにくい財産
不動産
筆頭に挙げられるのが不動産です。
不動産についても、売却して換価分割という方法もありますが、例えば以下のような場合を想像してみてください。
① 被相続人がそこで長年暮らしてきたため思い入れがある。
② 相続人の一人が被相続人と同居していた生活拠点である。
③ 土地は被相続人の名義だがその上に相続人の一人が家を建てていた。
これらのケースでは売却して…というわけにもいかず、財産価値の評価も難しく、さらには相続財産に占める割合が高い、などという場合には問題を複雑にしてしまう要因になります。
また、遠地の不動産で、流通性も低く売却しづらい、そして相続人の誰も欲しがらない。そんな場合も、誰が引き取るかで揉めるケースがあります。
美術品・骨董品
分けにくい相続財産の二つ目は高額な価値のある美術品や骨董品です。
換価分割しようにも、値段が変動するものですし、換金性は高いとは限らない、そもそも定価のようなものは無く、人によって価値の感じ方も違う。
換金が難しくても、絵画を相続人の人数で裂いたり、骨董品の壺を割って分けるなんてこともできません。
自社株
他にも会社経営をしている場合の自社株があります。
この場合、株を相続した人が会社を引き継いでいく事になりますから、複数の相続人が事業承継に熱意を持ったり、逆に引き継ぎたい相続人がいない、などの場合には困難が生じてしまいます。
生前の準備が何もなければ、引き継ぐにしてもどう引き継いだらいいのかわかりませんし、故人が相続人の中の誰を後継者として考えていたのかも不確かです。
そもそも事業を継続していって欲しいと考えていたのか、事業を清算して会社を畳んで欲しいと考えていたのかすら、残された人には分からないのです。受け止め方は色々ですから、ここに争いが生じてしまうことは少なくありません。
今、やっておくべきこと!
分けにくい財産問題についてはやはり家族間での事前の話し合い、そして遺言書の作成が不可欠です。
今やっておくべき事、そして、今でなければできない事はたくさんあります。